思考の整理と、感情の整理は、別のもの
「気持ちを整理したい」と思うとき、実は二つの違うことが混ざっていることがあります。
思考の整理と、感情の整理です。
似ているようで、この二つは別物です。そして、どちらをしたいのかがはっきりしないまま考え続けると、いつまでも堂々巡りになることがあります。
思考の整理とは
思考の整理は、「どうすればいいか」を考えることです。
たとえば、仕事を辞めるかどうか迷っているとき。給料、人間関係、次の当て、家族の反応——いろいろな要素が頭の中で絡まっています。これを一つずつ並べて、何が事実で、何が推測で、何が本当に大事なのかを分けていく。これが思考の整理です。
論理の作業なので、書き出すと比較的すっきりします。表にしたり、順番をつけたり、といったことが効きます。
感情の整理とは
一方、感情の整理は、「どう感じているか」を扱うことです。
さっきの例で言えば、「辞めたいのに、辞められない自分が情けない」とか、「本当は誰かに引き止めてほしい」とか、「うまくいかなかったのは自分のせいだと思ってしまう」といった部分。
これは論理では割り切れません。正しいか間違っているかではなく、ただ「そう感じている」という事実があるだけです。
やっかいなのは、感情の整理が必要なときに、思考の整理をしようとしてしまうことです。「こう考えれば解決するはずだ」と論理で押さえ込もうとする。でも感情は、論理で説得しても消えません。むしろ、扱われなかった感情は、後からまた出てきます。
混ざると、こじれる
多くの「考えても考えても答えが出ない」状態は、この二つが混ざっているときに起きます。
本当は感情の整理が必要なのに、思考で解こうとしている。あるいは、具体的な判断をしなきゃいけないのに、感情に飲まれて前に進めない。
だから、まず「今、自分がしたいのはどっちなのか」を分けるだけで、ずいぶん楽になることがあります。
「これは、どうすればいいか分からなくて困っているのか?」
「それとも、どう感じているかを、ただ受け止めてほしいのか?」
この問いを自分に向けるだけで、絡まっていた糸の端が少し見えてきます。
書き出すと、自然に分かれていく
面白いことに、頭の中では混ざっているこの二つは、書き出してみると自然に分かれていくことがあります。
「事実として起きていること」と「それについて自分が感じていること」は、文字にすると別の行になります。並べて見ると、「ああ、自分は判断に困っているんじゃなくて、ただ悲しかったんだ」と気づくことがある。逆に、「感情はもう整理できていて、あとは決めるだけだ」と分かることもあります。
私がこのサービスで大事にしているのは、まさにこの「分ける」という作業です。相談の内容を、事実と、感情と、思考のクセに分けて、整理してお返しする。自分一人だと混ざってしまうものを、外から並べ直す。
考えがまとまらないと感じるとき、それは答えが出ないのではなくて、二つの違う作業を同時にやろうとしているだけなのかもしれません。
まず、分けてみることです。
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