配管の仕事を始めたころ、多くの人がつまずくポイントがあります。「呼び径75の管の外径は何mmか」という問いです。答えは75mmではありません。93mm前後です。
当たり前のことのようですが、この感覚が身についていないと、掘削幅の検討や他の埋設物とのクリアランスの確認で足をすくわれます。
呼び径は「名前」であって寸法ではない
呼び径は、英語ではnominal diameter、つまり「名目上の直径」です。管を分類し呼び分けるためのラベルであって、実際の寸法を直接示す数値ではありません。おおよそ内径に近い値が使われることが多いのですが、それも管種や規格によって異なります。
なぜこうなっているかというと、管には肉厚があるからです。同じ呼び径でも、要求される耐圧や材質によって厚みが変わります。厚みが変われば、内径を揃えれば外径がずれ、外径を揃えれば内径がずれる。どちらか一方を基準に統一するしかなく、その調整の結果として、呼び径という共通のラベルが使われているわけです。
ダクタイル鋳鉄管の場合
ダクタイル鋳鉄管では、呼び径に対して外径が一定の値で定められています。参考として代表的な対応を挙げると、呼び径75は外径93mm、呼び径100は外径118mm、呼び径150は外径169mm、呼び径200は外径220mm、呼び径250は外径271.6mm、呼び径300は外径322.8mmとなります。
並べてみると、呼び径と外径の差が一定でないことに気づきます。呼び径75では差が18mmですが、呼び径300では22.8mm。比率も一定ではありません。つまり、暗算で「呼び径+20mmくらい」と当たりをつけるのは危険で、表を引くのが確実です。
さらに実務では、受口の部分がもっと太くなることを忘れてはいけません。継手部の外径は管の胴部より大きいので、掘削幅やサンドクッションの検討では、いちばん太い部分で考える必要があります。
ポリエチレン管の場合
水道配水用ポリエチレン管では、呼び径と外径の関係がまったく別の体系です。呼び径50は外径63mm、呼び径75は外径90mm、呼び径100は外径125mm、呼び径150は外径180mm、呼び径200は外径250mmとなります。
ダクタイル鋳鉄管より差が大きいことが分かります。呼び径100に対して外径125mmですから、25mmも違う。ここを鋳鉄管の感覚で読み間違えると、思ったより太い管が来ることになります。
同じ現場でダクタイル鋳鉄管とポリエチレン管が混在することは珍しくありません。呼び径100と書かれていても、材質によって外径が118mmなのか125mmなのかが変わる。図面の材質欄と呼び径を必ずセットで読む習慣が要ります。
肉厚と内径
もう一つ意識したいのが内径です。流量計算や、既設管に何かを通す検討では内径が効いてきます。ダクタイル鋳鉄管の場合、外径から肉厚の2倍を引けば内径が出ますが、実際には内面のモルタルライニングや粉体塗装の厚みも関わってきます。
ポリエチレン管の場合はもっと分かりやすく、外径と厚みの比(SDR)で規格が整理されています。同じ外径でも厚みの違うシリーズがあり、厚いほど内径が小さくなり、耐圧は高くなります。
表を引く手間を減らす
結局のところ、呼び径から実寸を知るには表を引くしかありません。であれば、その手間をできるだけ小さくしたい。そう考えて作ったのが寸法検索ツールです。呼び径と部材の種類を指定すれば、必要な寸法だけがすぐ出てきます。GX形は呼び径75〜450mm、HPPE管は呼び径50〜200mmの範囲に対応しています。
関連ツール
※寸法値は代表例です。規格は改定されることがあるため、正式な数値は最新のJIS・規格付表およびメーカーカタログでご確認ください。