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Sベンドと乙字管の使い分け

管路の高さを少しだけ変えたい。既設管の下をくぐらせたい。そんなときに登場するのが、SベンドあるいはZ字状に高さを移す配管です。GX形ダクタイル鋳鉄管の現場では、大きく2つのやり方があります。曲管を2本組み合わせる方法と、乙字管という専用の部材を使う方法です。

Sベンド ― 曲管2本の組み合わせ

Sベンドは、同じ角度の曲管を2本、向きを反転させて組み合わせたものです。1本目で管路を持ち上げ、2本目で元の向きに戻します。結果として、管路は平行に保たれたまま高さだけがずれます。

使える角度は、90°・45°・22 1/2°・11 1/4°といったラインナップです。どの角度を選ぶかで、必要な水平距離(L)と得られる高さ(H)の組み合わせが変わります。

ここで押さえておきたいのは、角度と寸法の関係です。90°を使えば水平距離とほぼ同じだけ高さが稼げますが、そのぶん急激な方向転換になります。逆に11 1/4°のような浅い角度では、得られる高さはごくわずかで、水平方向に長い距離が必要になります。たとえば呼び径75の場合、90°では高さも水平距離もおおむね同程度ですが、11 1/4°になると水平距離に対して高さは10分の1程度にとどまります。

つまり、限られた延長で大きく高さを変えたいなら大きい角度、緩やかに変えたいなら小さい角度という選び方になります。

乙字管 ― 1本で高さを移す部材

乙字管は、その名のとおり「乙」の字のように緩やかに屈曲した1本の部材です。曲管を2本つないで作るSベンドと違い、最初からその形に鋳造されています。

GX形の乙字管は、呼び径ごとに高さ(H)が300mmと450mmの2タイプが用意されています。つまり「300mm下げたい」「450mm下げたい」というニーズに対して、部材を選ぶだけで答えが出ます。継手が2箇所減るので、施工の手間も接合不良のリスクも小さくなります。

どちらを選ぶか

判断の分かれ目は、必要な高さの自由度です。

変更したい高さが300mmまたは450mmに近いのであれば、乙字管が第一候補になります。部材1本で済み、接合箇所も少なく、施工が速い。既製寸法にはまるなら、これに越したことはありません。

一方、それ以外の高さが必要な場合や、水平距離に制約がある場合は、曲管の組み合わせで対応します。角度の選択肢が複数あるぶん、寸法の組み合わせに融通が効きます。

なお、Sベンドの寸法は曲管の組み合わせで決まる固定値であり、現場での切管による微調整は原則としてできません。「だいたいこのあたり」で施工できる部分ではないので、事前に寸法表で確認して部材を決めておく必要があります。

早見表という道具

Sベンドと乙字管の寸法は、呼び径と角度(またはタイプ)の組み合わせで決まる固定値です。ということは、計算する必要はなく、表を引けば答えが出ます。

そこで作ったのが高さ変更早見表です。GX形のSベンド(呼び径75〜250)と乙字管(呼び径〜300)のL・H寸法、乙字管については質量まで一覧にしています。表引きだけで完結する内容なので、呼び径を選ぶ操作すら要らない構成にしました。現場で「この呼び径だと何mm稼げるか」を確かめたいときに開いてください。

※寸法・質量はメーカーや製品仕様により異なる場合があります。正式な数値は最新の規格・付表およびメーカーカタログでご確認ください。

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