// Blog

一体化長さとライナ ― なぜ曲管の前後を固めるのか

切管の計算をしていると、ライナという部材が出てきます。曲管の前後の直管に入れるもので、入れる本数は設計で決まっています。なぜこんなものが必要なのか。ここを理解しておくと、計算結果の意味が変わってきます。

曲がったところには力がかかる

まっすぐな管の中を水が流れているとき、管を押し広げようとする力は内側に均等に働いています。管を軸方向に動かそうとする力は、基本的に打ち消し合っています。

ところが管が曲がると話が変わります。水の流れが向きを変えるとき、その反作用として管を外側へ押し出す力が発生します。ホースの先を曲げて水を出すと、ホースが暴れようとするのと同じ理屈です。この力を不平均力と呼びます。

不平均力は、水圧が高いほど、管が太いほど、そして曲がる角度が大きいほど大きくなります。90°の曲管に高い水圧がかかっている場合、その力は相当な大きさになります。

そのままだと継手が動いてしまう

ここでGX形やNS形の継手の性質を思い出してください。これらは地震に追従するため、通常時から継手が伸縮できる構造になっています。地盤が動いたときに継手が伸び縮みして変位を吸収する、それが耐震継手の利点です。

しかしこの性質は、不平均力に対しては弱点になります。曲管に外側へ押し出す力がかかったとき、継手が自由に伸縮できてしまえば、曲管が少しずつ押し出されて動いてしまうおそれがあるのです。

そこで、曲管の前後の一定区間だけは継手が伸縮しないように固定するという考え方をとります。この固定する区間の長さが、一体化長さです。

ライナの役割

GX形では、直管の受口にライナという部材を挿入することで、その継手を伸縮しない状態にします。ライナが入った継手は、伸縮の余地がなくなり、離脱防止だけが効く状態になります。

これを曲管の前後に必要な長さ分だけ連続させることで、その区間全体が一本の剛体のように振る舞います。不平均力は、この一体化された区間全体と周囲の地盤との摩擦によって受け止められます。区間が長いほど、地盤との接触面積が増えて摩擦抵抗が大きくなる、というのが基本的な考え方です。

つまり、一体化長さは「どのくらいの長さを固めれば、地盤の摩擦で不平均力に耐えられるか」という計算から導かれた値です。

必要な長さを決める要素

一体化長さは、いくつもの条件で変わります。主なものを挙げると、呼び径、曲管の曲がり角度、設計水圧、土被り、埋め戻し土の種類(摩擦がどれだけ期待できるか)といった要素です。

これらの組み合わせで必要長さが決まるため、実務では日本ダクタイル鉄管協会の管路の設計資料(T57)などの早見表を参照して決定します。呼び径と角度、水圧の条件から必要な一体化長さを読み取り、それを満たす本数のライナを配置する、という流れです。

切管計算でライナ数まで出す理由

ここまで見てきたとおり、切管の長さとライナの配置は切り離せません。曲管まわりで管を切るとき、その管が一体化区間に含まれるのかどうかで扱いが変わります。管を切ってから「ここはライナが必要だった」と気づくと、後戻りになります。

そのため切管計算ツールでは、有効長や切断位置と一緒にライナ数も算出するようにしています。切る前に必要なものが全部わかる状態にしておく、というのが狙いです。

なお、一体化長さの扱いには地域や事業体ごとの運用ルールが存在します。一体化長さを定尺長さとして扱う運用に合わせたローカルルール版も別途用意しているので、現場のルールに応じて使い分けてください。

※一体化長さの決定方法は、事業体の設計基準や現場条件によって異なります。実際の設計では、JDPAの管路設計資料および所轄事業体の基準に従ってください。

← 記事一覧へ戻る