このサイトには、GX形の切管計算ツールが2つあります。標準の考え方に基づく版と、ローカルルール版です。なぜ2つあるのか、という話をします。
最初に作ったのはローカルルール版だった
順番としては、ローカルルール版が先です。理由は単純で、自分たちの地域の計算方法がそれだからです。私たちが現場で使うのは、こちらになります。
一体化長さの扱いは、地域や事業体によって運用が違います。うちのあたりでは、一体化長さを定尺長さとして扱います。この前提で計算しないと、実際の現場で使える数字が出ません。
だから、まず自分たちが使えるものを作りました。当然の順番だったと思います。
それでは自分たちしか使えない
ただ、公開するとなると話が変わります。
ローカルルール版は、そのルールで運用している地域でしか使えません。他の地域の人が使ったら、間違った数字が出てしまいます。せっかく公開しても、限られた範囲でしか役に立たない。それどころか、知らずに使った人に迷惑をかけることになります。
そこで、標準の考え方に基づく版も作る必要がありました。全国どこでも使える形として、簡易法に沿った版です。
2つを分けたのは、どちらかが正しくてどちらかが間違っているという話ではありません。前提が違うものを1つのツールに混ぜると、どちらの答えなのか分からなくなる。だから分けています。使う人が、自分の現場のルールに合わせて選べばいい形にしました。
大口径でメーカー確認を求められた
もう一つ、これを考えるきっかけになった経験があります。
大きい口径を扱ったとき、発注者から「材料屋を経由してメーカーに確認してくれ」と言われたことがありました。こちらで計算して出した数字ではなく、メーカーの見解を求められたわけです。
そのとき考えたのは、これは本来、標準の計算版で出さなければいけない場面なのかなということでした。
ローカルルールは、その地域の運用として妥当性があって使われているものです。ただ、口径が大きくなれば水圧による不平均力も大きくなり、条件が厳しくなります。そういう場面で発注者やメーカーとやりとりするなら、共通の土台である標準の考え方で話したほうが通じるのではないか。
この疑問には、私の中でまだはっきりした答えが出ていません。ただ、両方の数字を出せる状態にしておくことには意味があると思っています。普段はローカルルール版で作業し、外部と確認するときは標準版でも計算してみる。数字が違えば、その差がどこから来ているのかを説明できる。
どちらを使うべきか
使い分けの判断は、最終的には所轄の設計基準に従うことになります。ツールを作った側から言えるのは、次のことくらいです。
普段の作業では、自分の地域の運用に合った版を使ってください。それが実際に通る数字です。
そして、発注者やメーカーと確認が必要な場面、あるいは他の地域の仕事に関わる場面では、標準版でも計算してみることをおすすめします。数字が一致すれば安心できますし、違えば「うちはこういう運用なので」という説明の起点になります。
一体化長さがなぜ必要なのか、その考え方自体については一体化長さとライナの記事に書いています。前提の違いを理解しておくと、2つのツールの差も読み取りやすくなると思います。
関連ツール
※一体化長さの扱いは事業体や地域によって異なります。実際の設計では、必ず所轄事業体の設計基準およびJDPAの管路設計資料をご確認のうえ、ご判断ください。ローカルルール版は特定地域の運用を前提としたものです。